この治療との出会い
私がこの治療を始めたのは、美容外科医としてのキャリアの中で、ごく自然な流れでした。もう15年以上前のことです。
当時、私は形成外科・美容外科の技術を磨きながら、「見た目の悩み」を抱えた患者さんと日々向き合っていました。そのなかで、陰茎湾曲症で受診された患者さんとの出会いがありました。
正直に言うと、最初は「こういう症状で悩んでいる人が、こんなにいるのか」という驚きのほうが大きかった。医学書では決して目立つ領域ではありません。でも、診察室で向き合ってみると、患者さんが抱えているものの重さは、他のどんな悩みとも変わらなかった。
手術後、その場で治った結果を目の前にして、表情が変わる瞬間を何度も目にするうちに、私はこの治療から離れられなくなっていました。
最初に感じた「驚き」と「使命感」
施術を重ねるほど、一つのことが見えてきました。
この症状で悩んでいる男性の多くは、誰にも相談できないまま、何年も、時には10年以上、一人で抱えているということです。
命に関わる病気ではない。だからこそ、誰も真剣に取り合ってくれない、とさえ感じている方が多い。でも、診察室で話を聞けば聞くほど、わかるのです——この悩みは、その人の恋愛を、自信を、時には人生の選択そのものを、静かに侵食しているということを。
なかには、この治療があることを知らないまま40代・50代になって初めて受診される方もいます。「若い頃からずっと気になっていたけど、まさか治せるとは思っていなかった」——そう言って、長年の悩みをようやく解決できた喜びを話してくださる方が、少なくありません。悩みに年齢は関係ない、と私は思っています。
身体の問題が、心を蝕む。私は精神科・心療内科も専門としているので、この構造は身をもって理解しています。だからこそ、「形を治す」だけでなく、「その人の心が解放されるかどうか」を、私はこの治療の本当のゴールとして考えるようになりました。

診察室で出会った患者さんたちのこと
記憶に残っている患者さんがいます。
20代前半の男性でした。彼自身は、正直それほど深刻には考えていなかった。でも、彼女から「一度ちゃんと診てもらったら」と背中を押されて、受診を決めたと言っていました。
診察では、私にできること、手術で得られること、そして起こりうるリスクや不確実なことも、すべてお話ししました。彼は静かに聞いていて、最後にこう言いました。「自分のためでもあるし、彼女への優しさにもなるなら、やります」と。
手術は問題なく終わり、2週間後に検診で来院されました。経過は良好。性行為はまだ1〜2ヶ月控えてもらっている時期なので、実際の感想はまだ聞けていません。
でも、診察室を出る前に彼が言った言葉が、ずっと印象に残っています。
「誰にも相談できなかったけど、自分の人生に関わることを解決できた気がします。ありがとうございました」
この感覚——誰にも言えなかったことに、ちゃんと向き合って、解決に踏み出せた充実感——は、この治療を受けた多くの方に共通しています。手術の結果だけでなく、「決断できた自分」に対する自信の回復でもある、と私は感じています。
「手術を勧める」ことへの葛藤と確信
私は、初診でいきなり「手術しましょう」とは言いません。
身体にメスを入れるということは、その人に不可逆的な変化をもたらす行為です。それを軽く扱う気には、どうしてもなれない。
角度が浅く、日常・性行為に実質的な支障がない方には、「今すぐ手術する必要はありません」とはっきりお伝えします。これはビジネスとしては損かもしれませんが、私には関係ない話です。
一方で、物理的に挿入が困難な方、あるいは症状が原因でEDや対人回避が起きている方には、確信を持って手術をお勧めします。なぜなら、白膜の発育アンバランスによる湾曲は、マッサージや器具では絶対に治らないからです。
「確実に治せる手段がある。それを使わない理由がない」——そう思えるときにだけ、私はメスを握ります。

私がこだわる「治療の質」とは
技術的な話をすれば、私はミリ単位の調整にこだわります。手術中に人工的な勃起状態を再現し、あらゆる角度から形を確認しながら縫合を行う。そして、海綿体や勃起・感覚に関わる重要な神経・血管には傷をつけない。これは原則です。
ただ、私が同じくらい大切にしているのが、術前の対話です。
「この手術でどこまで改善できるか」「痛みや回復期間はどうか」「性機能への影響はないか」——都合のいいことだけでなく、不確実なこと、リスク、限界もすべて話します。患者さんが「わかった上で選んだ」と言える状態になるまで、私は手術室に案内しません。
精神科・心療内科の視点で言えば、この「対話と合意のプロセス」自体が、すでに治療の一部だと考えています。話すことで気持ちが整理され、手術前から何かが変わり始める患者さんを、私は何人も見てきました。
悩んでいるあなたへ、伝えたいこと
このコラムを読んでいるあなたは、おそらく一人でずっと検索し続けてきたのだと思います。
「こんなことで受診していいのか」「笑われないか」——その不安は、全く不要です。あなたが感じている悩みは、診察室で毎日聞いている話です。特別でも、恥ずかしいことでもない。
そして、解決できる問題です。
手術するかどうかは、会ってから一緒に考えれば十分です。まずは話しに来てください。診察室で、あなたの話を聞かせてもらえるのを待っています。
医師プロフィール・経歴

東京院院長・医師 森 秀人
経歴
- 2001年 慶応大学経済学部卒業
- 2007年 琉球大学医学部卒業
- 2007年 北海道大学付属病院勤務
- 2009年 東京女子医科大学付属病院勤務
- 2010年 東京都立広尾病院勤務
- 2011年 上野中央クリニック院長就任
- 2012年 銀座みゆき通り美容外科勤務
所属学会・団体
- 日本美容外科学会(美容外科専門医)
- 日本美容内科学会
- 日本形成外科学会
- 厚労省認定精神保健指定医
